ライバー事務所の所属契約・配信同意契約を電子契約で結ぶ|未成年ライバーの保護者同意の取り方
ライバーとの出会いは DM から始まり、所属の話も DM で決まります。契約書だけが郵送と返送の往復で、熱が冷める前に締結できない。DM の流れのままスマートフォンで締結する方法と、未成年の配信者に必要な保護者同意の取り方を整理します。
DM で決まった所属が、契約書で止まる
ライバー事務所のスカウトや応募対応は、SNS の DM やチャットで進みます。所属の意思が固まったら、あとは契約書だけ。ところが契約書を郵送して、署名して返送してもらう、という往復に1〜2週間かかります。そのあいだに別の事務所から声がかかったり、本人の熱が冷めたりします。
紙の契約書を PDF にして送り、印刷して署名して写真で返してもらう、という運用も見かけますが、本人確認が弱く、原本がどれか分からなくなります。DM の流れのまま、スマートフォンだけで締結を終えられる形が求められています。
所属契約書・配信同意契約など、ライバーと交わす契約書の種類
ライバー事務所が配信者と交わす書面は、事務所によって呼び方がさまざまです。所属契約書、マネジメント契約書、業務委託契約書、専属契約書のほか、配信の条件や配信アプリのアカウントの扱い、肖像の利用について本人の同意を取る書面を「配信同意契約」「配信同意書」と呼んでいる事務所もあります。
大切なのは名称ではなく、書かれている中身と、本人が合意したことを後から示せるかです。どの名称の書面でも、PDF になっていれば同じ流れで電子契約にできます。複数の書面を交わす場合も、それぞれを送って締結し、同じ一覧で管理できます。
スマートフォンだけで所属契約を結ぶ流れ
- 事務所:お手元の所属契約書(業務委託契約書・専属契約書など)の PDF をアップロードし、署名欄を置き、本人のメールアドレスを入れて送信する
- 本人:届いた URL をスマートフォンで開き、契約書を最後のページまで確認し、確認事項にチェックして、指で署名するか「同意する」ボタンを押す
- 双方:締結済みの PDF と合意締結証明書が、事務所と本人の両方に届く
本人側にアプリのインストールや会員登録は要りません。事務所側は、よく使う契約書をテンプレートに登録しておけば、宛先を入れるだけで送れます。
未成年ライバーには保護者の同意が要る
民法5条の考え方
民法第5条第1項は、未成年者が法律行為をするには法定代理人(通常は親権者)の同意を得なければならないと定め、第2項は、同意を得ずにした法律行為は取り消すことができるとしています。所属契約は法律行為なので、未成年の配信者と契約する場合、保護者の同意が無いと、あとから契約を取り消されるおそれがあります。
成年年齢は2022年4月1日から18歳に引き下げられました(民法第4条)。18歳以上であれば単独で契約でき、17歳以下であれば保護者の同意が必要です。年齢の確認は本人確認書類で行い、記録を残しておきましょう。
保護者同意を電子で取る流れ
電子契約では、本人と保護者の両方を署名者にできます。FIN SIGN での流れは次のとおりです。
- 事務所が契約書を送るとき、署名者として本人と保護者の2名を指定する(署名の順番も指定できる)
- 本人がスマートフォンで内容を確認し、署名または同意する
- 続けて保護者のメールアドレスに同じ契約書が届き、保護者が内容を確認して署名または同意する
- 2名の合意がそろった時点で締結となり、締結済みの PDF と証明書が全員に届く
保護者が遠方に住んでいても、郵送の往復なしに同意を取れます。誰が・いつ・どの内容に同意したかは、本人と保護者それぞれについて合意締結証明書に残ります。
なお、保護者同意の欄をどう設けるか、同意の対象をどう書くかといった契約書の内容は、事務所側で用意するものです。FIN SIGN は契約書の中身には関与しません。
所属契約の条項で気をつけたいこと
専属義務・移籍制限・違約金
公正取引委員会は2018年2月の「人材と競争政策に関する検討会 報告書」で、芸能やスポーツなどの分野を念頭に、事業者が個人の活動を過度に制限する契約(長期の専属義務、移籍や独立の制限、過大な違約金など)が独占禁止法上の問題となり得ることを整理しています。ライバーと事務所の関係にも当てはまり得る考え方です。
配信者の活動を縛る条項ほど、あとから無効を主張されるおそれが大きくなります。条項の内容と程度は、弁護士に確認したうえで決めることをおすすめします。電子契約は締結の手段であり、条項の有効性を変えるものではありません。
報酬の計算と支払時期
投げ銭やギフトの分配率、プラットフォームからの入金時期と事務所からの支払時期のずれ、経費の負担。数字に関わる項目は、契約書に具体的に書き、本人に控えが残る形にしておくと、あとの食い違いを減らせます。電子契約なら、本人にも締結済みの PDF が届きます。
解除・退所の手続き
退所のときの手続きや、アカウントの扱い、解除の合意も、同じ仕組みで電子的に結べます。締結済みの文書は事務所側で7年間保管され、名前や日付で検索できます。
印紙税
所属契約書や業務委託契約書を紙で作成すると、内容によっては課税文書に当たり、収入印紙が必要になることがあります。電子データとして作成・締結した場合は課税文書の作成に当たらないとされています。根拠と注意点は、印紙税の記事で詳しく解説しています。
FIN SIGN について
FIN SIGN は、ライバー事務所やナイトワークの店舗など、相手がスマートフォンしか持っていない場面を想定して作った電子契約サービスです。送信ごとの追加料金は無く、月ごとの送信件数の枠の中で何通でも送れます。本人と保護者の2名署名にも対応し、締結済みの文書は7年間保管されます。
まとめ
- 所属契約は DM の流れのまま、スマートフォンだけで締結できる
- 17歳以下の配信者との契約には保護者(法定代理人)の同意が必要で、同意が無いと取り消されるおそれがある(民法5条)
- 本人と保護者を署名者にすれば、郵送なしで保護者同意を取れる
- 専属義務や違約金の条項は独占禁止法上の問題となり得るため、弁護士に確認する
- 電子で作成・締結した契約書には収入印紙が不要とされている
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。契約の内容は弁護士にご相談ください。
よくある質問
- 未成年のライバーと契約するとき、保護者の同意は必ず必要ですか?
- 民法第5条は、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を得なければならず、同意のない行為は取り消すことができると定めています。所属契約も法律行為なので、18歳未満の配信者と契約する場合は保護者(法定代理人)の同意を取っておくことが基本です。
- 保護者が遠方に住んでいても同意を取れますか?
- 取れます。電子契約なら、本人が署名したあとに保護者のメールアドレスにも同じ契約書を送り、保護者がスマートフォンで内容を確認して署名または同意できます。郵送の往復が要りません。
- 専属契約や違約金の条項は、どこまで書いてよいですか?
- 配信者の活動を過度に縛る条項は、独占禁止法上の問題を指摘した公正取引委員会の報告書があり、内容によっては無効とされるおそれがあります。条項の内容は弁護士に確認してください。電子契約は締結の手段であり、条項の有効性を変えるものではありません。
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参考・出典
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本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法的・税務上の助言ではありません。法令の内容は公開時点のものです。個別の判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。